2. 運命の出会い
「こんなところで、何をしているのかね?」
ダリルシェイドの入り口で叫んでいたら、聞き覚えのある声がした。呆れたような視線を向けるのは、ヒューゴ・ジルクリストだった。
「うちに来たばかりのメイドの君だろう?」
ヒューゴのお屋敷で、メイドになったつもりはないのだけれど、どうやらこの世界では私はメイドとして雇われたようだ。
そういえば、服装がヒューゴのお屋敷のメイド服だわ。なぜか太ももに二丁拳銃を隠し持っているけど。
「すみません、ストレスの発散をしてました」
間違ったことは、言っていない。
「仕事が終わっているのならば、何をしても構わないが……あまり、品格を落とすようなことは謹んでもらおうか」
たしかに、自分の屋敷のメイドが往来で訳のわからないことを叫んでいたら、品位を疑われるだろう。
「申し訳ございません。すぐに、屋敷に戻ります」
ヒューゴに会わなかったら、今晩どこに泊まるか考えなければならなかったから、助かった。
……あれ、もしかしてこれって、運命の出会いってやつ?
「戦うメイドということで、雇ったのだからリオンの補佐も仕事のうちだ。忘れるな」
「承知しました」
戦うメイド。なんだ、それは。
メイドだし、愛用の拳銃も持っているし、たしかに戦うメイドだけど……そんなこと、公表しなくてもリオンに近づく方法は、いろいろあると思うんだけど
どういうことなの、神様?!
メイドってどういう事なのよ?!神様
[2012年 07月 09日]